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農地の賃貸借契約の解除

解除農地を貸し借りするためには、農地法3条の許可を得なければなりません。

農地法3条許可

反対に、農地の貸し借りを止め、賃貸借契約を解除する場合にも、都道府県知事の許可を得なければならないと農地法は定めています。

農地法18条

農地法18条は次のように定めています。

農地法18条

農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより道府県知事の許可を得なければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解除をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。この許可を受けないでした行為はその効力を生じない。

この条文から、農地の賃貸借契約を結んでいる当事者は、原則として都道府県知事の許可が無い限り、契約の解除を行うことができないことになります。

契約の解除

契約の解除とは、当事者の一方の意思表示により契約を解消するすることです。

例えば、借主が賃料を支払わないといった場合、貸主のが一方的に契約を解除するといったケースです。

しかし、この場合、借主は民法のルールに従ってあらかじめ借主に対して、相当の期間を定めて賃料の支払いを請求しておかなくてはなりません。つまり、いきなりの解除はできないということです。

ただし、契約時に直ちに契約の解除を認める旨の特約をしておけば、いきなりの解除も可能となります。

解約の申入れ

解約の申入れとは、期間を定めることなく賃貸借契約をした場合に、当事者の一方が契約の打ち切りを通告することです。賃貸アパートを退去するときのイメージです。

例えば、農地の借主が農地の賃借を止めようと思い、都道府県知事から農地法18条の許可を受けたとします。その後、貸主に対して解約の申入れをすれば、民法のルールに従い、申入れの日から1年を経過すれば契約は終了します。

合意による解除

合意による解除とは、貸主と借主が合意して賃貸借契約を終了させることです。たとえお互いの合意が成立しても、都道府県知事の許可が必要です。

ただし、農地の返還期限が6ヶ月以内に合意が成立し、さらにその合意が書面によって明らかになっている場合は例外的に許可が不要になります。

更新拒絶の通知

期限のある賃貸借契約において、当事者の一方が、期限が到来したその時点で契約を終了する旨の意思表示をすることです。

更新拒絶の通知は、期限の1年前から6ヶ月前までに行わなければ、自動的に更新されたものとみなされてしまいますので注意が必要です。

農地法18条の許可申請

農地の賃貸借の当事者は、賃貸借契約の解除をする場合、政令で定めるところにより事前に都道府県知事の許可を受ける必要があります。

申請先

農地法18条の許可申請は、農地の所在を管轄する各市町村の農業委員会を経由して、都道府県知事に提出することになります。

許可申請書の提出期限

許可申請書は、賃貸借の解除を行う者が、解除をする日の3ヶ月前までに農業委員会に提出する必要があります。

農地法18条の許可基準

農地法18条の許可を受けるためには、次のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 賃借人が信義に反した行為をした場合
  2. 農地を転用することが相当な場合
  3. 賃貸人の自作を相当とする場合
  4. 農業生産法人の要件を欠いた場合
  5. その他正当な事由がある場合

1.賃借人が信義に反した行為をした場合

信義に反した行為とは、契約当事者間の信頼関係を将来にわたって維持することが、客観的にみて不可能または著しく困難であると考えられる場合です。

例えば、賃借人が賃料を長年わたって滞納している場合、賃貸人に無断で賃借農地を転用した場合などがこれに該当すると考えられます。

2.農地を転用することが相当な場合

国の通知によると、

「例えば、具体的な転用計画があり、転用許可が見込まれかつ賃借人の経営及び生計状況や離作状況等からみて賃貸借契約を終了させることが相当と認められる場合」となっています。

3.賃貸人の自作を相当とする場合

国の通知では、

「賃貸借の消滅によって賃借人の相当の生活の維持が困難となるおそれはないか、賃貸人が土地の生産力を十分に発揮させる経営を自ら行うことがその者の労働力、技術、施設等の点から確実と認められるか等の事情により判断するもの」としています。

農業生産法人の要件を欠いた場合

例えば、以下のような場合です。

  • 賃借人である農業生産法人が農業生産法人でなくなった場合
  • 農業生産法人の構成員が、その構成員でなくなり、賃貸人またはその世帯員が事業に供すべき農地のすべてを効率的に利用し、農業に常時従事することができると認められる場合

その他正当の事由がある場合

正当な事由とは、例えば、賃借人一家の離農等により賃貸借を終了させることが妥当であると客観的に認められる場合です。

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