農地転用許可(届出)を受けずに農地を無断で転用してしまうと、農地法違反となってしまいます。無断転用には、懲役刑や罰金刑が定められており、特に悪質な場合はこれらの刑罰に加えて、農地への現状復帰命令などの行政処分が下されることもあります。
しかし、実際の無断転用の事例を見てみると、農地法のことを知らずに無断転用してしまっていたり、親から譲り受けた土地が実は無断転用されていたなんていう事例も少なくありません。
これらの当事者に対して、問答無用で法令通りの罰則を与えていくことは、必ずしも良い方法ではありませんし、強引に原状復帰させることは、大きな経済的損失となってしまいます。
かといって、農業委員会は違法状態を知りながら放置することはできません。
そこで、農地が無断転用されてしまった場合、許可権者が(知事や大臣)が無断転用者に対して行政処分を行い、農地転用許可申請書を提出させて追認的に許可を得ることが認められています。
追認的許可には始末書が必要
無断転用をしていたことが発覚し、事後的に申請をする場合、通常の書類に加えて「始末書」の提出を求められることがあります。
始末書とは、無断転用してしまっていたことを告白し、今後は同じようなことをしないという誓約をする文章が書かれた書面のことです。反省文といったほうがイメージがしやすいかもしれません。
面倒だと思われるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。形式に則って作成すれば問題無く、あらかじめ記入例を開示している農業委員会もあるくらいです。
土地所有者が記名押印して他の書類と一緒に提出します。
後から申請すればよいという考えは間違い!
追認的許可が認められているこからといって、無断転用が認められているわけでは決してありません。追認的許可とはあくまで救済措置であって、行政側は必ず事後的な申請を認めなくてはならないわけではありません。
つまり、いきなり原状復帰命令が下される可能性は常にありますし、最悪の場合、刑事告発という選択肢もありますので、制度を悪用することはやめた方が賢明といえるでしょう。
無断転用が発覚したらどうする?
無断転用が発覚した場合、一番良い方法はまず農業委員会に相談することです。農業委員会が求める是正方法を忠実に実行するのが最も手っ取り早い方法だと思います。
「罰を受けるのではないか?」と心配に思われるかもしれませんが、よほど悪質でない限り真実を告白し、是正をしようとしている市民に罰を与えるほど行政も鬼ではありません。安心してください。
ほとんどの場合、申請書を提出して事後的に許可を受けることになるでしょう。