農地を農地のまま(耕作目的で)他人に譲渡したり、貸し借りする場合、当事者の双方は原則として、連署により申請をしなければなりません。これを双方申請の原則といいます。
もし、当事者の一方が申請に非協力的で申請書に署名をしようとしない場合、もう一方にとってはいつまでも不安定な状況におかれてしまい、それが長期に及ぶことによって損害を被る可能性もあります。
そこで、当事者の一方が非協力的な場合には、もう一方が相手に対して申請に協力するように請求することができます。すなわち、3条許可申請をする者はお互いに協力し合う義務を負うということになります。
請求できるのは契約から10年間
相手に協力を請求できるのは、時効により、契約(売買契約・賃貸借契約など)を締結してから10年間とされています。(消滅時効)
これは、民法の規定によるものです。
ただ、契約を結んでから10年間も揉めることは通常ありえないと思いますので、揉めた時点で契約を解除するのが常識的な対応でしょう。
農業委員会は介入しない
3条許可申請に当事者の一方が非協力的であり、連署をしないような場合に農業委員会に泣きついても、農業委員会は相手に連署をするように指導するといった対応はしてくれません。
なぜなら、当事者間で発生した申請に協力する・しないといった揉め事は、あくまで民事的な問題であって、敢えて農業委員会が介入して間を取り持つようなことはしないからです。
もし当事者間で揉め事が発生し、示談できない場合は、民事裁判によって決着を付けることになります。
お互いが協力し合うのがベスト
3条許可申請には、当事者双方の連署、印鑑が必要になります。
両者が協力して迅速に許可取得のために動くことで、買主(借主)は早く営農が可能になりますし、売主(貸主)は現金収入を得ることができます。逆にズルズルと揉めることによって時間とお金を浪費したり、精神的ストレスを感じることになりかねません。
事前に契約内容をしっかりと吟味し、両者納得の上で許可申請に入る状態を築いておくことが大切です。