農地転用の手続きでは、当事者双方が申請人として名を連ねるのが原則となっています。
農地転用の申請者についてはこちらをご覧ください。
そこで問題となるのが、どちらが費用を負担するのか?ということです。
「費用負担は少ないほうがいい!」、「できれば費用負担はしたくない!」と思うのが人情というものですが、必ず誰かが負担しなければならないものです。
今回は、誰が農地転用の費用を負担するのかについて考えてみたいと思います。
結論!決まっていない!
結論から申し上げると、決まっていません。
言い換えると、どちらでもよい、好きにしてよい、当事者で決めてくださいということです。
拍子抜けしてしまったかもしれませんが、これは費用負担について特に法律で定められているわけではないという意味です。
「じゃあ一体どっちなんだ?」と困惑されてしまうかもしれませんので、一般的なパターンをご紹介したいと思います。
一般的には買主が支払う。
農地転用の手続き後、実際に転用をするのは買主となります。
つまり、買主が何らかの事業(住宅建築、太陽光発電など)を行うということが考えられます。
農地転用の費用は、これらの事業のための費用の一部であると考えられるわけです。
よって、農地転用の費用およびその他の役所の手続き費用については買主が負担するのが一般的です。
例えば、カフェをオープンしようとしている人が、土地や建物を探して買ったり借りたりするのをイメージしていただけば分かりやすいと思います。
土地改良区の決済金も買主が負担することが多い。
売買する農地が水利組合などの受益地に該当する場合、農地転用をするときに面積に応じた決済金を支払わなければならないことが結構頻繁にあります。
土地改良区の手続きについてはこちらで詳しく解説しています。
この決済金んについても法律上の決まりはなく、むしろ税務署のように「払ってくれさえすれば誰でもよい。」といった感じで、第三者でも構いません。
よって、農地転用の費用と同様に決済金についても基本的に買主が負担することが多いです。
稀ですが、売主が負担することもあります。
売主が組合員なわけですから、組合に関する費用は売主が負担するという考え方も全く理にかなっているのではないかと思います。
測量費用は売主が負担することもある。
住宅を建てる場合、境界トラブルを避けるために必ず測量をするはずです。
この測量費用について売主が負担することは珍しくありません。
しかし、これは売主さんが土地を処分したいときにによくあるパターンと言えます。
買主側がどうしても土地を買いたいということで売主に積極的にオファーする場合には、買主側が負担するということも十分に考えられるでしょう。
買主が法人の場合はすべて法人が負担することが多い。
買主が法人の場合は、法人が何から何まですべて負担してくれるのが一般的です。
というのは、法人が土地を買うのは当然に営利目的でしょうから、そのための先行投資という側面があります。
さらに、当たり前ですが個人と比べて資金力が違いますし、経費に計上できるという事情もあるのでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?
原則としてはどちらが負担するのか決まっておらず、どちらでもよいのですが、理論的に考えてこれから土地を利用していく買主が負担するという考え方が一般的であり、最も合理的であると言えるのではないでしょうか。
しかし、絶対買主が負担しなければならないというわけではなく、もちろん売主が負担しても全く問題ありません。
そんな売主に出会えたとしたら、かなりラッキーかもしれません。
お金に関する話題は最もトラブルになりやす部分ですし、人間性が現れるところでもあります。
不要なトラブルに巻き込まれないように、誰が費用負担をするのかについてはあらかじめしっかり決めておき、土地売買契約を交わす場合はきちんと明記しておくべきでしょう。
参考になれば幸いです。