農地転用とは、「人為的に農地を農地以外のものにする行為」のことです。例えば、農地を宅地、駐車場、資材置場、店舗に変える場合がこれにあたります。
ただし、農地を「人為的」に変える行為に限りますから、洪水、津波、嵐などの自然現象によって農地が農地以外のものとなっても、農地転用にはあたりません。
農地転用は自由にできない!?農地法による規制
農地転用は人為的に農地を農地以外のものにする行為ですが、いつでも誰でもできる行為ではありません。なぜなら、農地転用は「農地法」によってその転用行為が規制されているからです。
農地法は、「農地は有限の存在であり、日本国民のための食料生産の基盤である」として、農地を保護すべき対象としています。ですから、たとえ農地の所有者であったとしても自由に農地転用することはできないのです。
農地転用の許可(届出)制度
農地を保護することも重要ですが、国土の狭い日本は土地を有効活用しなければなりません。私たちが快適に生活するためには街や道路の整備は必要不可欠です。これらのために農地転用が全くできないとすると、かえって不都合が生じてしまうことも考えられます。
そこで、両者の利害調整をするために農地法は同法4条と5条において、農地転用を規制して許可(届出)制度とし、必要最低限の農地転用だけを認めることで、農地の減少にブレーキをかけています。
農地法4条
農地法4条は「自己転用」と呼ばれることがあります。4条は自己の農地を農地以外のものにする行為を規制対象としています。
例えば、
- 「Aが所有する農地にAが建物を建てる」
- 「Aが所有する農地にAが建物を建て、その建物をBに賃貸する」
これらの場合に4条許可(届出)が必要です。
農地法5条
農地法5条は、転用行為と同時に権利の移転・設定が起きる点で、4条と異なっています。権利の移転とは、例えば農地の譲渡による所有権移転です。権利の設定とは、例えば農地を借りる際の賃貸借権設定です。
4条では農地転用後、自己が土地を使用するのに対し、5条では譲受人または賃借人が土地を使用する点で異なっています。
例えば、
- 「Aが所有する農地をBが借りて建物を建てる」
- 「Aが所有する農地をBが借りて建物を建て、さらにCがその建物を借りる」
これらの場合に5条許可(届出)が必要です。
避けては通れない農地転用許可(届出)
農地を農地以外に使用することは、まさに農地転用に該当します。たとえ自然災害によって農地が農地でなくなったとしても、突然農地が宅地や駐車場に変貌するわけではありません。例えば工事など人為的な作業が伴うのが通常です。
つまり、農地転用許可(届出)は避けては通れないものなのです。