農業委員会とは、各市町村に必ず存在する行政機関であり、その目的は、「農業生産力の増進及び農業経営の合理化を図るため、農業委員会の組織及び運営並びに農業委員会ネットワーク機構の指定等について定め、もって農業の健全な発展に寄与すること」と法律により定められています。
この農業委員会は農地転用許可をはじめとする農地関係の手続きの窓口となる機関です。一般的に市役所の中に農業委員会事務局が置かれています。
農業委員会の業務
農業委員会の主な業務は大きく3つに分けられます。
- 法令業務
- 任意業務
- その他の業務
法令業務
法令業務とは、農地法や農地経済基盤促進強化法をはじめとする種々の法令によって、農業委員会に事務処理権限が与えらえている業務のことです。
例えば次のような業務です。
- 農地法3条の許可・届出受理事務
- 農地法4条・5条の転用届出受理事務
- 農地法18条の賃貸借を解除する旨の届出受理事務
- 農地等の利用の最適化(担い手への農地利用の集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消、新規参入の促進)の推進
任意業務
任意業務とは、農業委員会法により定められている業務のうち、農業委員会以外の行政機関も行うことのできる業務です。
例えば次のような業務です。
- 法人化その他農業経営の合理化に関する業務
- 農業に関する調査及び情報提供
その他の業務
これらの他に農業委員会は、農地利用の最適化に関する施策について、PDCAサイクルを回して改善していくため、必要がある場合には関係行政機関に対し施策の改善意見を提出しなければならないとしています。
「農地のこと=農業委員会」という感覚でOK
大規模な開発事業でない限り、農地に関する行政の窓口は各市町村の農業委員会になります。農地のことはとりあえず農業委員会で聞いてみるという感覚で問題ないでしょう。
農業委員会の組織
農業委員会は農業委員によって組織されています。
農業委員の選出
農業委員は市町村長によって任命されます。
これらの委員は、いずれも特別職の地方公務員です。よって農業委員に地方公務員法の適用はありません。
また、農業委員は非常勤ですので事務局に常勤しているわけではありません。しかし、農業委員会の事務を継続的に処理していかなくはなりません。そこで、常勤の職員を置くこととされています。建前上、職員は農業委員会に任免されることとなっていますが、通常その市長村の地方公務員が勤務しています。
会長
農業委員会には会長を置きます。会長は農業委員会の業務を総理し、会を代表します。また、総会の招集権を持ち、さらに総会の議事において可否同数の場合に採決権が与えられています。
農地部会
選挙委員の定数が21人以上の農業委員会にあっては、1つまたは2つ以上の農地部会を置くことができます。