非農地証明とは、登記上の地目が田・畑・牧場となっている場合において、その土地が農地法上の農地に該当するかどうかを農業委員会が判断し、一定の条件を満たした場合には「非農地」として証明するというものです。現況証明と呼ばれることもあります。
この証明書が交付されることによって、該当する土地が農地法上の農地ではなくなることになりますので、農地法の規制から解放されることになります。
つまり、農地転用許可や届出は不要になるということです。地目変更登記をする時も、この非農地証明があれば登記をすることが可能になります。
この非農地証明は、法律の根拠があるものではなく、農地法の適正な運用を図るために各市町村の農業委員会が行政サービスの一環として行っているものです。
非農地証明の条件
非農地証明は、農業委員会が行政サービスとして行っているため、統一した基準は存在していません。
よって、ここでは一般的な条件を列挙します。
- 農地法が適用された日以前から非農地であった土地
- 自然災害による災害地で農地への復旧が困難であると認められる土地
- 農業振興地域の整備に関する法律で定める「農用地区域」の外の土地で、原則として20年以上耕作放棄され将来的にも農地として使用するのが困難であり、農地行政上も特に支障がないと認められる土地
実務上よくあるパターンとしては、農地と知らずに住宅を建ててしまって、20年が経過している場合です。原則として無断転用の場合は適用しないことになっていますが、証明をしてくれることがほとんどです。
非農地証明に必要な書類
非農地証明の必要書類は次の通りです。(各自治体により異なります)
- 証明願
- 土地登記事項証明書
- 位置図
- 公図の写し
- 現況図
- 現況写真
- 20年前から農地以外となっていたことを証明できる客観的資料
現況写真の撮り方
非農地証明では、現況の状況が重要なため、現況写真が添付書類として必要になります。
特に枚数は定められていませんが、最低でも全体像を写したものと、隣接地との関係が分かる境界部分の写真(東西南北の境界)は撮るようにしておきましょう。
写真は少ないよりは多く撮っておいたほうが無難です。なぜなら、農業委員会から「この辺りがもっと分かる写真がほしい」と言われるかもしれないからです。そうなると再度現場に行かなくてはならなくなり二度手間です。
とりあえずいろいろな方向から写真を撮っておいて、厳選したものを添付書類として使うようするのがオススメです。
また、写真に番号を付けておいて、現況図に写真を撮った位置とその番号を記入しておくと、担当者がどの方向から撮った写真なのか分かりやすくなりますので、書類審査の時間が短縮されるでしょう。
ちなみに、写真はパソコンに取り込んでカラー印刷したもので構いません。
20年前から農地以外となっていたことを証明できる客観的資料
20年前から農地以外となっていたことを証明する資料として考えられるものは、固定資産税の評価証明書です。
例えば、もし20年以上前から宅地として課税されていれば、それが証明となります。また、住宅の場合は、20年以上前に建物登記がされていれば、住宅が存在していたことが分かりますので証明として使えます。その他の方法としては、住宅地図や航空写真があります。
固定資産の評価証明書は市役所の税務課で請求することができます。
雑種地状態の農地で非農地証明は困難!?
「耕作をやめて長年経ち、固定資産税も雑種地課税となっているが非農地証明はできないか?」
という相談を受けることがよくあるのですが、たとえ荒れ果てていたとしても、基本的に耕作をやめただけの農地で非農地証明はできない可能性が高いです。
非農地証明が可能なパターンとしては、20年以上前に許可を受けることなく建築物を建ててしまった場合のみと考えていただいた方が良いでしょう。
まず非農地証明ができないか検討してみる
非農地証明は、許可や届出に比べて手続きが簡単です。ですから、もし無断転用であることに気付いたら、まず非農地証明ができないか検討してみましょう。
ご自身で非農地証明ができるかどうか判断できない場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。あなたの大切な時間と費用を節約することができるかもしれません。