Q1.農地の賃貸借契約の当事者は、賃借料の増額または減額を請求することができますか?
農地法によると、農産物の価格、生産費の上昇・低下その他の経済事情により、または近隣の類似した農地の賃借料の額と比べて不相応となったときは、契約の条件に関わらず、当事者は賃借料の増減を請求することができるとしています。
ただし、一定の期間、賃借料を増加しない旨の特約がある場合には、その特約が優先します。
協議が調わないときはどうする?
話し合いをしても賃借料の折り合いがつかないときは、裁判によって決着することになります。
増額または減額の請求を受けた者は、とりあえず裁判が確定するまで自身が相当と認める額の賃借料を支払っておくだけでよいのですが、もし裁判によって既に支払った額に不足がある場合は、その不足分に年10%の利息を含めて支払わなくてはならなくなります。
逆に、裁判によって既に支払った額が多すぎることになった場合、その超過分に年10%の利息を含めて返還しなければなりません。
Q2.市街化区域内の農地が宅地並みの課税とされた場合、小作料を増額できますか?
宅地並みの課税がされていない市街化区域内の農地について、地方税法の改正によって生産緑地にしてされた場合を除いて、宅地並みの課税がされることになりました。
このため、固定資産税の額が徴収する小作料を上回るという現象が起こりました。この場合、固定資産税の増額分を小作料に反映させることができるのかという問題があります。
この問題について、裁判所は以下のような判決をしました。
- 小作地に対していわゆる宅地並み課税がされたことによって固定資産税及び都市計画税の額が増加したことを理由として小作料の増額を請求することはできない。
農地法によると、農産物の価格、生産費の上昇・低下その他の経済事情により、または近隣の類似した農地の小作料の額と比べて不相応となったときは、契約の条件に関わらず、当事者は小作料の増減を請求することができるとしています。
税金の増減を小作料の増減事由としては認めておらず、固定資産税等の額が小作料を上回ることが経済事情の変動に該当するとはいえないこと、また、耕作者は農地を農地として使用しているのであって宅地として使用することはできないのであるから、宅地並みの資産を維持するための額を小作料に転嫁することはできないことを理由としています。