Q1.農地法の許可の買主と異なる者を権利者として所有権移転登記をすることができますか?
農地法の許可書に記載された買主や借主と異なる者への所有権移転登記をすることはできません。
したがって、買主との間に委任契約を結んだ者が申請者として許可申請をし、受任者の名前で許可を受けた場合、たとえ有効な委任状があったとしても、許可書に名前のない買主名義で所有権移転登記をすることはできません。
- 買主の委任を受けた者に対してされた農地法第5条許可の許可書に基づいてなされた買主への所有権移転登記は、当該許可申請についての委任状を添付しても認められない。
Q2.共有名義で農地法の許可を受けた場合、そのうちの1名の名義で所有権移転登記できますか?
共有名義で受けた許可に基づいて、そのうちの1名の単独名義で所有権移転登記をすることは認められず、許可書の通り、共有名義で登記することになります。
- 譲受人が複数記載されている農地法第3条の許可証を添付して申請された、譲受人を単有名義とする所有権移転登記は受理されない。
Q3.農地法の許可を受けた買主と他の者を権利者とする共有名義の所有権移転登記はできますか?
前述の通り、許可を受けた譲受人以外の者の名義で所有権移転登記をすることはできません。
そして、たとえ許可を受けた譲受人が登記名義人であったとしても、許可書に記載のない者との共有名義で登記することは認められていません。
- 農地法第5条による許可書を添付して所有権移転登記を申請する場合、許可書に記載されていない者との共有の所有権移転登記申請は受理されない。
また、許可後に売主の共有人数が間違っていたことが発覚した場合、所有権の登記が更生され、共有者が更生されたときは、あらためて更生後の共有者を売主とする許可が必要となります。
- 売渡人(共有者3名)と買受人の申請により農地法5条の許可を得た農地について、売渡人について錯誤により2名の共有にする所有者の更生登記があった場合は、改めて更生後の共有者との申請による農地法所定の許可を得なければならない。
Q4.農地法の許可を複数の買主が受けた場合、許可書の共有割合と異なる割合で所有移転登記はできますか?
共有名義で受けた許可の持分と異なる持分で所有権移転登記をすることは、共有者自体が承諾していたとしても認められません。
- 農地法第5条による許可書に記載されている買主甲・乙の持分と登記申請書に記載された持分が異なる場合、所有権移転登記は受理されない。
ただし、許可書に共有持分が記載されていない場合は、持分割合の異なる登記申請も認められます。
- 所有権移転登記申請書に添付する農地法5条の許可書に数名いる譲受人の持分の記載がない場合に、持分割合を異にする登記の申請は受理される。
Q5.農地法の許可を共有名義で受けた場合、1名だけの単独所有として所有権移転登記できますか?
共有名義で得た許可書に基づいて、その一部の物の単独名義で所有権移転登記をすることは認められておらず、許可と同じ共有名義で登記することになります。
- 譲受人が数名記載されている農地法3条の許可を添付して申請された、譲受人を単有名義とする所有権移転登記は受理されない
Q6.農地法の許可書には売買による権利移転とされていますが、贈与を原因とする所有権移転はできますか?
農地法許可申請書には、売買や贈与などの権利移転の原因を記載しなければなりません。
許可証には権利移転の原因が売買となっている状態で、登記上の権利移転の原因を贈与とすることは、たとえ当事者が同じであっても認められないとされています。
- 農地法第3条の許可書に移転の事由が売買と記載されており、登記申請書には登記原因が贈与と記載されている場合には、当該登記申請は受理されない。