農地に太陽光発電設備を設置する場合の理由書は、駐車場の理由書と類似しています。
なぜなら、太陽光発電設備のために土地を造成したり、整地することは原則として開発行為には該当しません。したがって、都市計画法の規制はありませんので、農地法を意識して理由書を書き上げることになります。
太陽光発電設備と開発許可についてはこちらをご覧ください。
駐車場の理由書についてはこちらから。
では記入例をご紹介します。
記入例 休耕地に太陽光発電
今回の事案は、申請者の隣接地(親の所有地)に太陽光発電設備を設置するための農地転用でした。
前述の通り、太陽光発電設備設置は原則として開発行為には該当しませんので、農地転用許可だけを申請しました。
今般、上記土地にソーラーパネルを設置したく申請します。
私は現在、下記住所地にて両親と共に家族6人で暮らしております。
住宅の北側には、父が祖父から受け継いだ土地が広がっておりますが、現在、休耕畑の状態です。
かつて祖父がいた頃までは、農作物を作っていたのですが、昭和64年に祖父が他界してしまってからは、特に作物を作る事も無く、20年以上もの間、草刈だけに時間を費やす日々を送って参りました。
現在、両親は高齢であり、私も子供達も一般企業で働いておりますので、今後も農業を行う見込みは無く、何とか他に有効利用できないものかと悩んでおりました。
そんな時、ふと通りかかった所でソーラーパネルが設置されているのを見て、太陽光発電に関心を抱くようになりました。電力の自己利用と売電により、子の代まで家計の助けとなってくれると思ったからです。
又、世間では福島の原発事故以降、国内の原発が次々に停止し、その分の電力を補う為、火力発電に頼っている状態が続いております。
その結果、今年の4月から電気料金の値上げが決まり、さらには消費税の増税も重なることになります。
原発の再稼動には賛否両論あり、今後国内のエネルギー事情が好転する期待も全くありません。私は、動くなら今しかないと思い、この度、ソーラーパネル設置を決意しました。
申請地は閑静な集落内にあり、周辺農地への影響も少なく、日光を遮断する障害物も無い為、申請地として最適であると言えます。
以上の事をご理解頂き、処理して頂きます様、お願い申し上げます。
※ポイントを赤字にしています。
ポイント① 土地の選定理由を書く
記入例のケースでは、20年間も耕作されておらず今後も耕作される見込みはないことを説明し、土地を選定した理由としてます。
農地は農地法に基づき、保護の対象とされていますが、農地は耕作してこそ意味があります。長い間耕作されず、今後も耕作されない農地は転用しやすい農地といえるでしょう。
ポイント② 太陽光発電の必要性を書く
記入例の案件を担当している当時、東日本大震災後の影響もあって再生可能エネルギーが世間で盛り上がっていました。
そこで、再生可能エネルギーの話題を取り上げ、将来のエネルギー事情を不安視している旨を書き、太陽光発電の必要性をアピールしました。
また、太陽光発電は長期的に見て収益を上げることができる事業でもありますので、後の世代に残すことができる資産としても有用であることを説明しています。
なお、二酸化炭素を発生させないなど、環境に優しいことを理由としても問題無いと思います。
ポイント③ 周辺農地への影響がないことを書く
周辺農地に影響がある農地転用は認められませんので、必ず一文を書いておくことをお勧めします。
周辺農地に影響がないかどうかは、雨水の処理の仕方や隣接農地との間に擁壁を設置するかどうかで確認されます。
なお余談ですが、太陽光発電設備の場合は、敷地に簡単に侵入できないように周囲をフェンスで囲う必要があります。
まとめ
いかかでしょうか?
記入例では、原発問題のことなど時事的なことも取り入れていますが、個人的にはそこまで踏み込む必要はないと思います。
それよりも、土地選定の理由や周辺農地への被害軽減の計画をしっかり書いておく方がより効果的だと思います。
あとは、それらを1つの文章として繋げる文章力が試されるところではないでしょうか。
よかったら参考にしてみてください。