遺産を相続した場合、その遺産の価値を金額に表し、その合計額を計算した上、場合によっては相続税を納めなければなりません。
農地も相続財産に該当しますから、その価値を評価する必要があります。しかし、一体どのようにして評価すればよいのでしょうか?
農地の評価は低い!?
農地の評価は宅地や雑種地に比べて低いものとなっています。低いというと、まるで農地の利用価値が低いような感覚になりますが、決してそういうことではありません。
あくまで、相続税を課税するための評価が低いということです。したがって、評価が低ければ課税も低く抑えられるということになりますから、むしろ喜ぶべきことなのです。
この場合、「低い=優遇」ということです。
なぜ農地は優遇されるのか?
ではなぜ農地の評価は優遇されるのでしょうか。
それは、農業の維持発展を促すためといえるでしょう。もし農地の評価を高くし、宅地と同等の課税をすると、農家は農地を手放してしまいます。これでは、日本の農業は衰退してしまします。
そこで、農地の評価を低く設定し、農家が農業を維持できるようにしているのです。
農地の評価の仕方
相続税における農地の評価の仕方にはルールがあります。しかし、一律の評価ではありません。
例えば、街の中心部の土地が高いのに対して郊外の土地が安いのと同様に、農地もその立地や今後の都市計画によって価格が変動します。ですから、農地の評価の仕方もそれに対応した方法が必要になります。
農地の区分
農地の評価は、農地を次の4種類に区分して行います。
- 純農地
- 中間農地
- 市街地周辺農地
- 市街地農地
農地がどの区分なのかを判断する方法
相続した農地がどの区分に該当するのか判断する方法は、国税庁のホームページで判断することができます。
国税庁ホームページ(画像をクリックすると拡大できます)
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【最新年分】をクリック
するとPDFファイルが開かれますので、下にスクロールして土地の所在を探してください。
田、畑欄の漢字が農地の区分を表しています。
「純」 =純農地
「中」 =中間農地
「周比準」=市街地周辺農地
「市比準」=市街地農地
なお、「比準」とは付近の宅地の評価に比準して評価するという意味です。
純農地と中間農地の評価方法
純農地と中間農地の評価は倍率方式によって評価されます。
倍率方式とは
倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法のことです。
なお、国税局長が定める一定の倍率はコチラから調べることができます。
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財産評価基準書
固定資産評価額とは
固定資産税評価額とは、固定資産税を課税する基準となる土地・建物の評価額のことで、市町村長が決定します。評価額を基に固定資産税が確定し、毎年1月1日に土地・建物を所有している人に課税されます。
固定資産税評価額は毎年市役所から送られてくる課税明細書を見ればその金額が分かります。また、課税明細書がなくても、市役所の税務課で固定資評価証明書を請求すれば金額を確認することができます。
例えば、固定資産評価額が20万円の純農地(田)で、倍率が30倍だったとすると、評価は次のようになります。
20万円×30=600万円
※あくまで相続税を計算するための評価額であることに注意
市街地周辺農地の評価方法
市街地周辺農地の評価方法は、その農地が市街地農地であるとした場合の価格の80%に相当する金額によって評価します。
ですから、まず市街地農地としての評価をしなければならないということになります。市街地農地の評価については次をご覧ください。
市街地農地の評価方法
市街化農地の評価は、宅地比準方式または倍率方式によって行います。
宅地比準方式とは
宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額から、その農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいいます。
市街地農地の評価=(農地を宅地とした1㎡の価格-1㎡の造成費)× 面積
その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額
路線価方式により評価する地域にあっては、その路線価により、また倍率地域にあっては、評価しようとする農地に最も近接し、かつ、道路からの位置や形状等が最も類似する宅地の評価額(宅地としての固定資産税評価額×宅地としての評価倍率)を基として計算した価格のことです。
1平方メートル当たりの造成費の金額
整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに、国税局長が定めています。
相続税改正により基礎控除額が減額されました
平成27年1月1日より、税制が改正され相続税の基礎控除額が減額されました。これにより、今までよりも相続税の課税対象者が増加することとなります。
改正前 5000万+1000万×相続人の数
改正後 3000万+600万×相続人の数
最初から相続税が課税されるほどの財産はないと思い込むのは危険です。多くの農地を相続した場合は特に注意しましょう。
税に関するご相談は税務署もしくは税理士へ
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