市街化調整区域では、原則として開発行為または建築行為は禁止されています。
しかし、市街化調整区域といえども、そこに住んでいる人々が生活するために公益上必要な建築物や日常生活のために必須の物品の販売、加工、修理等の業務を営む小規模の店舗等は容認すべき必要性があるため、許可の対象とされています。
都市計画法では、第34条1号で定める「公益上必要な建築物及び日常生活のための必要な店舗等」において、市街化調整区域内での店舗の建築を認めています。
業界では、34の1(さんよんのいち)と省略して呼ばれています。
公益上必要な建築物及び日常生活のための必要な店舗等
34条1号で認められている建築物は、次のいずれかに該当するものです。
- 主として開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する公益上必要な自己の業務の用に供する建築物
- 主として開発区域の周辺の地域において居住している者の日常生活のため必要な自己の業務の用に供する店舗等
自己の業務の用に供するもの
自己の業務の用に供するものとは、開発行為または建築行為もしくは用途変更しようとする者が、その建築物などで継続的に自己の業務による活動を行うものをいいます。
1.公益上必要な自己の業務の用に供する建築物
公益上必要な自己の業務の用に供する建築物とは、次のいずれにも該当するものです。
① 建築物の用途
申請地の用途は、次の3つです。
- 学校教育法第1条に規定する小学校、中学校及び幼稚園。
- 社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業の用に供する施設のうち、福祉サービスを受ける通所者、又は入所者が直接利用する施設。
- 医療法第1条の5第2項に規定する診療所。
② 申請地の立地
- 申請地は原則として、市街化調整区域の既存集落内の建築物の敷地から100メートル以内にある土地であること。
既存集落
半径300メートルの円内に100戸以上の建築物(建築面積が30㎡以上のもの)があるもの。または50戸以上の建築物が連たんしているもの。
連たん
建築物の敷地間の距離が55メートル以内であること。
③ 建築物の規模
建築物の規模は、次の通りでなくてはなりません。
- 事業計画に照らし適正なものであること。
- 建築物の高さは、原則として10メートル以下であること。
- 居住施設を含まないこと。
あくまで業務用の建築物であり、居住できる施設を含む建築物は認められません。
居住施設
居住施設には、業務上必要な宿直室および社会福祉施設においては入所者が福祉サービスを受けるための施設は含まれません。
④ 申請地の規模
申請地の規模は、次の通りでなくてはなりません。
- 小学校、中学校および幼稚園については、事業計画に照らし適正なものであること。
- 社会福祉施設については、2000㎡以下であること。ただし、児童福祉法に規定する保育所については、事業計画に照らし適正であること。
- 診療所については、1000㎡以下であること。
⑤ 他法令による許可
- 開発または建築もしくは用途変更を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許可等が受けられるものであること。
例えば、農地転用許可や道路占用許可などがあります。
2.日常生活に必要な自己の業務の用に供する店舗等
日常のため必要な自己の業務の用に供する店舗等とは、次のいずれにも該当するものです。
① 建築物の用途
- 別表に掲げるものであること。(別表はこちらで確認できます)
- 風営法に規定する風俗営業および性風俗関連特殊営業等に掲げる用途に供しないものであること。
② 申請地の立地
- 申請地は、市街化調整区域の既存集落内の建築物の敷地から50メートル以内にある土地であること。
③ 建築物の規模
建築物の規模は、次の通りでなくてはなりません。
- 延べ面積は300㎡で以下であること。
- 高さは10メートル以下であること。
- 敷地形状は、原則として延長敷地形態でないこと。
- 共同建ておよび長屋建てでないこと。
- 店舗等の管理施設および倉庫の規模は必要最小限とする。
- 管理施設の規模は20㎡以下であること。
- 倉庫と管理施設の合計面積は建築物の延べ面積の2分の1を超えないこと。
- 居住施設を含まないこと。
許可を受けられるといっても、施設は必要最低限であり、管理施設と倉庫の合計面積が店舗面積を超えてはいけません。
やむを得ず延長敷地形態にする場合は、路地状部分の幅を6メートル以上としなければなりません。
延長敷地形態
共同建て
ホール、廊下、階段等を共有して2戸以上の店舗等を建てるもの。
長屋建て
廊下、階段等を共有しない2戸以上の店舗等を連続する建て方の店舗または廊下等を共有しないで2戸以上の店舗等を重ねたもの。
店舗等の管理施設
事務所、休憩室、従業員用トイレなど。
④ 申請地の規模
申請地の規模は、次の通りでなくてはなりません。
- 申請地の規模は、500㎡以下であること。
⑤ 他法令による許可
- 開発または建築もしくは用途変更を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許可等が受けられるものであること。
例えば、農地転用許可や道路占用許可などがあります。
理由書が必要な方へ
店舗を建築する際の理由書が必要な方は、以下のページを参考にしてみてください。
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農地転用の理由書の書き方:店舗