「既存住宅の増築等のためのやむを得ない敷地拡大」
愛知県において敷地拡大とは、愛知県開発審査基準第15号に定められた「既存住宅の増築等のためのやむを得ない敷地拡大」のことです。
市街化調整区域内では、原則として開発行為や建築行為が禁止されています。
しかし、敷地を拡大し、既存住宅の増築または改築をするための開発行為または建築行為は例外的に認められています。
敷地拡大の要件① 既存住宅の定義
既存住宅は、以前に都市計画法に基づく許可を受けたものでなければなりません。
- 原則として、既存住宅は都市計画法に基づく許可を受けた者が自己の居住の用に供する1戸の専用住宅であること。
敷地拡大の要件② やむを得ない事情
- 現に居住している既存住宅が、過密または狭小であり、敷地を拡大し増築または改築することがやむを得ないと認められるものであること。
自己用住宅の場合、やむを得ない事情により別の住宅を建てるのに対し、敷地拡大は現住所地において増築・改築をする点で異なっています。
自己用住宅の要件についてはこちらをご覧ください。
増築
増築とは、既存建築物の床面積を増加させることをいい、同一棟、別棟を問いません。
ただし、建築物の敷地は、「1の建築物または用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地」を指しており、用途が異なる建築物はそれぞれ別の敷地を持つものと考えられています。
例えば、既存の工場敷地内に社宅を建築する場合には、既存敷地内の増築ではなく、既存敷地が変更された新たな敷地に社宅が新築されたものとして取り扱われます。
改築
建築基準法のおいて改築とは、建築物の全部もしくは一部を除却し、または建築物の全部もしくは一部が災害等によって滅失した後、引き続き同一敷地内において用途、規模および構造の著しく異ならない建築物またはその部分を造ることをいいます。
しかし、都市計画法では特に、用途変更を伴うものを「改築」と解釈しています。
敷地拡大の要件③ 敷地
- 拡大する敷地は、既存住宅が建築されている敷地の隣接地とし、その面積は、増築または改築される住宅にふさわしい規模のものであること。
拡大できる敷地は必要最低限であり、過大な拡大はできません。したがって、隣接地が広大である場合には分筆などの対応が必要になるでしょう。
敷地拡大の要件④ 住宅の規模
敷地拡大として認められる建物は、居住用としてふさわしい規模でなければなりません。
- 増築または改築される住宅は、自己の居住の用に供するものとしてふさわしい規模、構造、設計等のものであること。
したがって、世帯の構成員に対して部屋数が多すぎたりすると、規模が大きすぎるという指摘を受ける可能性もあります。
敷地拡大の要件⑤ 他法令の許可
増築、改築に際し、他法令の規制がある場合には、それらの許認可を受ける必要があります。
- 開発または建築を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許認可が受けられるものであること。
敷地を拡大するための隣接地が農地である場合は、農地転用許可が必要になります。その他、道路占用許可や道路使用許可などが必要な場合があります。
まとめ
敷地拡大の場合、以前に都市計画法の基準を満たしていることもあり、書類の収集など申請のための準備は比較的スムーズに進めることができます。
しかし、以下のようなケースもありますので注意が必要です。
規模が大きすぎて増築と認められなかったケース
以前、実家の隣接地に別棟の住宅を増築する案件で、敷地拡大として申請を試みましたが、別棟の住宅の規模が大きすぎて敷地拡大と認められず、新築扱いになったことがありました。
さらに、実家と隣接地を一体とした土地に別棟を建築する計画でしたので、実家の敷地形状が変更したと判断され、再度実家の建築許可申請が必要となりました。