開発審査会とは、都市計画法第78条に基づき、開発許可権限を持つ自治体に設置される合議制の諮問機関のことです。
都市計画法第78条1項
第50条第1項に規定する審査請求に対する裁決その他この法律によりその権限に属させられた事項を行わせるため、都道府県及び指定都市等に、開発審査会を置く。
愛知県の開発審査会は、法律、経済、都市計画、建築、公衆衛生、行政の学識経験者7人で構成されています。
諮問機関とは
行政がある判断を下す際に、適正な判断を下すために専門家から参考意見を求めることがあります。この参考意見を述べる行政機関を諮問機関と言います。
「~審議会」とか、「~委員会」とか呼ばれたりもしますが、分かりやすく言い換えると、アドバイザーみたいなものです。
諮問機関の特徴として、答申された諮問機関の意見は行政を拘束しません。つまり、行政は諮問機関の意見と反対の結論を出すことも可能ということです。あくまで参考意見という位置付けになっています。
開発審査会も諮問機関の1つとされています。
開発審査会の役割
開発審議会が行う事務は以下の通りです。
- 都市計画法第50条の規定(不服申立て)による開発許可に関する審査請求に係る採決
- 都市計画法第34条14号に規定する諮問に関すること
- 都市計画法施行令第36条1項3号ホの規定による諮問に関すること
不服申立て
不服申立てとは、行政の判断に対し不満がある場合、その判断が適法であるかどうか、妥当であるかどうかをもう再度審査してもらうことです。
例えば、開発許可を申請したが不許可になり、納得いかない申請者が行政の判断を取消して再度審査をしてもらうことを求める場合です。
開発審査会は開発許可に関する不服申立てに対して調査をし、適法性や妥当性を判断をする役割があります。
法34条14号と令第36条1項3号ホ
市街化調整区域の開発許可基準のうちの1つです。
原則として市街化調整区域では開発許可が受けることはできませんが、例外として開発許可を受けることができる場合があります。
開発許可基準についてはこちらをご覧ください。
開発審査会は、市街化を促進する恐れがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と認められ、例外的に市街化調整区域内で申請された開発許可または建築許可に関する諮問について意見を述べる役割があります。
市街化調整区域での規制は、個人の権利を厳しく制限することとなるため、例外的許可の判断については慎重な判断が必要とされます。開発審査会の中立的な視点からの審議によって、個人の権利と法律による規制の調整が図られています。
開発審査会が置かれる指定都市等
都市計画法78条によって開発審査会は、都道府県と指定都市等に置かれることになっています。指定都市等とは、すべての市町村ではなく政令指定都市、中核市、特例市のことです。
開発審査会は一定規模以上の市に置かれ、都道府県知事から許可権限を委任することによって、知事に代わって市長が開発許可を行うことができるようになっています。
政令指定都市、中核市、特例市についての詳しい説明は省きますが、都市の規模を表す区分だと考えてもらえば問題ありません。ちなみに規模の大きさの順番は次の通りです。
政令指定都市 > 中核市 > 特例市 > その他の小規模市町村
愛知県で開発審査会が置かれている指定都市等
愛知県で開発審査課が置かれている市は以下の通りです。(平成26年4月1日現在)
- 名古屋市(政令指定都市)
- 岡崎市(中核市)
- 豊田市(中核市)
- 豊橋市(中核市)
- 春日井市(特例市)
- 一宮市(特例市)
開発審査会が置かれる指定都市等では、独自の運用基準を定めているところもあります。
事務処理市
事務処理市とは、開発許可に関する事務は市長が行うことができるが、開発審査会は設置されていない市のことです。
愛知県の事務処理市(平成26年4月1日現在)
西尾氏、刈谷市、安城市、豊川市
事務処理市の市長は、市街化調整区域の開発許可の事務については、愛知県開発審査会に諮問することになります。