前回に引き続き、市街化調整区域において分家住宅を建築する際に必要となる理由書についてご紹介します。
書くときのポイントは前回と同じなので省略しますが、依頼人の実情に応じて当然理由が変わることになりますので、臨機応変に文章を作成する必要があります。
前回の記事を読んでない方はこちらから。
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農地転用の理由書の書き方:分家住宅①
第3弾はこちらからご覧になれます。
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農地転用の理由書の書き方:分家住宅③
ではさっそく記入例をご覧ください。
記入例② 市外から本家近隣へ
この事案は、結婚して市外で生活していた者が、本家近隣の市街化調整区域に分家住宅を建てるケースです。
敷地面積は500㎡以下でしたが、農地が田でしたので盛土が必要となり、開発行為に該当することになりました。したがって、農地転用許可と開発許可を同時申請することになりました。
今般、上記土地に分家住宅を建築したく申請いたします。現在私は下記住所地で生活をしておりますが、昨年待望の子供も生まれ育児に追われる毎日を過ごしております。
子供を育てる事は思っていたより大変で、母に協力を求めたいと思っても私の本家でもある実家は○○市××町である為大変遠く、なかなか母に言い出せずとても育児に苦労している状況であります。又、両親も還暦を迎え、今後2人を支えていきたいと考えておりますが、今の住まいは気軽にお互いの住まいを行き来できる距離ではありません。
今は妹と弟が同居しておりますが、いずれ結婚し実家から離れる可能性もあり、今後のお互いの事を考えると私も○○市に住みたいと強く思うようになり、夫に相談しました。すると、夫も私の気持ちを理解してくれたので早速○○市に住む計画をたてました。
これを両親に報告しましたところ、この計画を歓迎してくれ、父が所有する上記土地への住宅を薦められた為、その言葉に甘え同地に住宅を建築する計画をたてました。
申請地は周辺農地への影響も少なく、実家からも大変近い土地であり、お互いの家を気軽に行き来する事ができる土地である事から私の分家住宅建築地として最適であると考えております。
以上の理由をどうかご理解頂き処理していただけますよう、よろしくお願いを申し上げます。
尚、本家につきましては父△△が本家を後継する為に祖母□□と同居しておりなんら問題はありません。
※ポイントを赤字で表示しています。
ポイント① 育児の大変さをアピール
育児が楽だという人はいません。そして、育児を経験していない者はどの程度大変なのか見当がつかないですし、経験した者はいかに大変であるかよく知っているでしょう。
よって職員からツッコミを入れられることはまずないと思います。理由として十分成立します。
ポイント② 長女としての責任感
現在、本家には妹と弟が同居していますが、今後家を出ていく可能性は十分にあります。したがって、自らの意思で親の近くに定住し、今後面倒を見ていきたいと考えている長女を拒む理由はないでしょう。
反対に、もし長男がいて世帯を築き本家に同居している場合、この理由では不十分という指摘を受けるかもしれません。
まとめ
いかかでしょうか?
最近は、高齢者だけの世帯が多く、孤独死する高齢者も増加しており、行政も対策に頭を悩ませています。よって、高齢世帯の近くに見守ってくれる家族がいてくれることは行政にとっても喜ばしいことだと思います。また、子供を家庭で育てることは、待機児童問題の解消にもつながります。
自己の都合だけでなく、行政にとってもプラスになることを理由書に記載すると、印象が良くなるのではないでしょうか。
ぜひ参考にしてみてください。
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