ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立てて地面からおよそ3メートルの位置に短冊型のソーラーパネルを設置し、農業をしながら太陽光発電を行いうというものです。太陽の光を農作物と発電で共有(シェア)するところからソーラーシェアリング(営農型発電設備)とよばれ、新しい太陽光発電の方法として注目されています。
環境ビジネスオンラインより
ソーラーシェアリングのメリット
ソーラーシェアリングには、次のようなメリットがあるといわれています。
- 国土の狭い日本で平地を有効活用できる(日本の平地の13%が農地である)
- CO2の削減、原発リスクの軽減
- 売電収入や賃料による農家の所得向上、後継者問題の解消
もし、日本の農地の3分の1である300万haにソーラーシェアリングを設置すれば、国内の発電量のすべてを賄うことがことができると言われており、国土が狭く資源の乏しい日本にとって有効な手段であると考えられています。
また、農家が抱えている農家の高齢化や耕作放棄地の増加、後継者問題などの解決策として期待されています。
作物はちゃんと育つのか?
農地の上部にソーラーパネルを設置すると、日光が遮られて作物が育たないのではないか?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
しかし、強すぎる太陽光は作物にとっても有害であり、作物は一定の量以上の太陽光は光合成に利用しないという「光飽和点」存在するのだそうです。この性質を利用することで、作持が必要としない余剰分の日光を発電に利用し、作物の成長を害することなく発電が可能になるというわけです。
ただし、サトウキビやトウモロコシなど光飽和点が存在しない作物もあり、ソーラーシェアリングを導入する場合は、作付する農作物の選定に十分注意を払わなければなりません。
ソーラーシェアリングの課題
作物に影響がなく発電ができて、しかも収入まで増えるとなると、ソーラーシェアリングとは環境にとっても農家にとっても良いことばかりの様に思えますが、実は課題もあります。
例えば、太陽光発電事業は20年が基本です。一時転用許可を3年ごとに繰り返すとしたら7回も許可を取り直さなければなりません。農地の所有者にとっては大きな負担となってしまいます。
また、制度上「農業の継続」を条件にソーラーシェアリングは認められていますので、もし農家がやむを得ない理由で営農を辞めることになったとしても、それと同時に発電設備も撤去しなくてはなりません。このようなリスクがある中では、金融機関からの融資も受けにくくなります。
ソーラーシェアリングは画期的な方法ではありますが、気軽に参入できる仕組みはまだ確立されていないといえます。