農地転用の許可を受けるためには、「やむを得ずその農地を利用しなければ目的(住宅建築、駐車場の設置など)が達成できない。」というやむを得ない理由がなくてはなりません。
農地転用の許可基準についてはこちらをご覧ください。
言い換えると、「農地以外で目的が達成できるなら転用は不要(不許可)」ということになります。
つまり、やむを得ない理由があってはじめて転用許可が必要となるはずなのです。
しかしながら、売買することを目的としてありもしない理由をでっち上げて許可を受けようとする人や業者が少なからずいます。
先日もこのような案件を持ち込んできた不動産業者が来ました。
該当地は市街化調整区域にあって昔から宅地の土地(いわゆる既存宅地)とその隣接地となっている畑ということでした。
接道は既存宅地部分しかなく、農地部分は袋地状態となっている土地です。
しかし、この両土地は以前に所有者が無断で業者に貸しており、現況は資材置場(現在は廃墟のよう)になっている厄介な土地です。
不動産業者によると、この既存宅地部分に隣町の建設業者が本社移転し、本社を建築して本社敷地としつつ農地部分を資材置場として利用したいという内容でした。
このとき幣所はこの内容が真実だと信じ、やむを得ない理由として認められる可能性のあると考え農業委員会に相談をしたところ、農業委員会は違法状態の是正もできる可能性があると好感触であったため手続きを進めていくということで話がまとまりました。
ところが、このあたりから業者側のボロが出始めたわけです。
建築案件は必ず役所との事前協議が必要となり、図面など建築計画の概要をあらかじめ提示しなければならないのですが、業者側は一向に建築計画を提示しないどころか「建築はいずれするので転用許可だけなんとか取れないか。」と言い出したのです。
これには呆れました。
おそらく、ありもしない理由をでっちあげて許可を受け土地の売買をしようとしていたが、想像以上に具体的な計画がないと許可を受けられないという現実に直面して焦ったのでしょう。
当然ながら、幣所はこの案件をお断りさせていただきました。なぜなら場合によっては虚偽申請させられるところだったわけですから。
というわけで、幣所ではこのような売買ありき農地転用は一切お断りしておりますし、お問い合わせも拒否いたしますのであらかじめご了承ください。
幣所はこのような虚偽申請と疑われるような依頼を受けてまで商売したいと思っていませんし、苦労して国家資格を取ったわけではありません。
むしろ、たとえ困難な案件であっても適法なご依頼に対して全力で取り組みたいと思っています。