以前このサイトでは、JAバンクの相続手続きのうち、名義変更についてご紹介をしました。
JAバンクの相続手続きについてはこちらで確認できます。
金融機関の相続手続きを相続人以外の者がする場合、委任状が必要になります。委任状の様式は各金融機関で指定されていたり、または任意様式の場合もあり、とてもややこしく感じると思います。
ゆうちょ銀行や大手の銀行では、相続手続きについての説明がホームページ上でされていたり、委任状がダウンロードができるところもありますが、JAバンクについてはいくらネットで探してもなかなか出てきません。
必死検索して「見つけた!」と思っても、地元とは全然違う県外のJAバンクだったりします。おそらくあなたもそんな経験をしたのかもしれません。
今回は、私がJAバンクの相続手続きで実際に名義変更を行った際に提出した委任状をご紹介します。
※JAは市町村単位で存在していますが、私が名義変更を行ったのはJA愛知西の手続きです。全国のJAが同じ手続きを採用しているかどうかは保証できませんのであらかじめご了承ください。
絶対に記載しておくべき3つの条項
金融機関の手続きのための委任状で最も重要なのが、どんな行為を委任するかという条項の文言です。
委任状には、次の3つの条項を記載することをお勧めします。
- 被相続人のJAバンクに預託している一切の預貯金等に関する、口座凍結手続き、残高証明書の請求・受領、名義変更、払戻し、解約及び当該預貯金等の元利金等の受領、JAバンクに提出する遺産分割に必要な書類の作成・提出・受領など、以上遺産分割に必要な一切の権限及び行為。
- 復代理人の選任及び解任に関する件。
- 上記に附帯する一切の事項。
委任事項を明示しておく
委任状を書くとき、委任事項をまとめて「~に関する一切の行為」とまとめてしまうことがありますが、金融機関の場合は認められないことがありますので、個別具体的に明示しておくようにしましょう。
注意したいのが、必要な事項が記載されていないことによって、その行為が代理できなくなってしまうことです。
例えば、上記の例でうっかり「受領」を書き忘れてしまうと、請求は代理できても受領は本人じゃないといけないということになってしまい、委任者に迷惑をかけてしまうかもしれません。
十分注意してください。
委任状の例
以上を踏まえて委任状を作ってみると、以下のようになります。
委任状
私は、下記の者に私の代理人として次の事項を委任します。
(氏 名)
(住 所)
(電 話)
(FAX)
- 下記の被相続人のJAバンクに預託している一切の預貯金等に関する、口座凍結手続き、残高証明書の請求・受領、名義変更、払戻し、解約及び当該預貯金等の元利金等の受領、JAバンクに提出する遺産分割に必要な書類の作成・提出・受領など、以上遺産分割に必要な一切の権限及び行為。
記
(氏 名)
(最後の住所地)
- 復代理人の選任及び解任に関する件。
- 上記に附帯する一切の事項。
平成 年 月 日
相続人
(氏 名)
(住 所)
指定の委任状様式を採用している金融機関は別として、任意様式を認めている金融機関であれば「JAバンク」のところを入れ替えることによって、他の金融機関の委任状としても活用していただけます。
レイアウトはいろいろあると思いますが、この委任状なら大抵の手続きはできますので参考にしてみてください。
なお、委任者は実印による押印が必要です。念のため余白に捨印も押しておきましょう。
まとめ
私の感覚ですが、金融機関は相続人による相続手続きを前提としているように思います。なぜなら第三者による手続きの場合、書類のチェック等が非常に慎重で、明らかに窓口担当者がその対応に慣れていないからです。
これは、委任状を持った第三者がその権限を悪用し、亡くなった者のお金を不正使用する可能性があるからだと考えられます。
委任状の書き方関しては、金融機関は行政機関よりも厳しいと感じますので、あなどることはできません。
気を引き締めて手続きを行ってください。